かの男は黒に交わることなく、浅葱を纏うのだった。
朱の透けない面は仄暗い雪里の如し、そこに対になって置かれる煙水晶には何も浮かばない。
薄く、柔く縺れる唇は白梅を食むように。
腐朽の美しさは、まさに中世貴族が好む陶磁器人形―ビスクドール―
生命の躍動を一切感じない男の姿を、目に留めるだけならば、
何人たりとも男を否定できないだろう。
有体に言えば美麗な青年である男を前にして、誰もが風に凪ぐ御髪に目を奪われ得るのだ。
「だがしかし彼奴は気が違えている。」
さても、それはどういった意味合いであろうか。
「彼奴の内は風などという爽快なものでは溢れていない、命の鼓動より激しい念が渦巻いている。」
果たして、呪いにでもかかっていると言うのか。
「呪いであれば好かったな、ああ好かったよ。奴が憑かれているのは 」
ぽぅんと放り投げるようにその言の葉を口にするのは至極下劣な蛮行である
女性化したローレンス。
どうかなぁと思いつつせっかく描いたので下の方にのっけておきます。
もう別人として扱います。